高次脳機能障害

「さらばリハビリ」~あとがき

この本は、鈴木大介『脳が壊れた』(2016年、新潮新書)の二番煎じである。二番煎じではあるが、それは「二匹目の泥鰌」を狙った水増し本ではない。鈴木さんは私より若く、発症年も浅いのに、「リハビリ」に関するイメージが普通過ぎて呆れ返り、「そう…

「さらばリハビリ」~(33)40代以下の「若い失語症の集い」に参加して

上川あやさんとの会話で知った「若い失語症の集い」を、私はネット検索して参加した。参加費は2000円で、参加者たちの近況報告をダラダラとしゃべり、食事をし、最後に歌を歌って閉めるイベントである。失語症の原因は、私と同じ脳疾患、スキー事故、交通事…

「さらばリハビリ」~(30)アバウトに聞かれるオープン型質問と、YES/NOで答えるクローズ型質問

介護や看護で用いられる面接/会話技法に、「KOMI理論」がある。この技法はかなりメジャーなので簡単に説明する。 患者とやり取りをする質問には2種類ある。クローズ型(YES/NOで答える)質問とオープン型(YES/NOで答えられない、もしくは5W1Hの)質問で…

「さらばリハビリ」~(29)感情のコントロールができない「感情失禁」

高次脳機能障害の主な症状は、いまはない、と思いたい。自然治癒した症状もあり、後は工夫して訓練して克服した。たとえば一般のカレンダーは読めないが、黒白反転した「大活字カレンダー」を買ったら少しは読めるようになった。アナログ時計もいまは読める…

「さらばリハビリ」~(28)エレベータの「開閉ボタン」も読めない

山田規畝子さんの本は、急性期病院のSTに教えてもらった。私の症状が「高次脳機能障害」に似ているというのである。 高次脳機能障害とは、主に脳の損傷によって起こされるさまざまな神経心理学的障害である。主として病理学的な観点よりも、厚労省による行政…

「さらばリハビリ」~(27)高次脳機能障害の処方箋

山田規畝子さんは整形外科の医師であるが、生まれつきモヤモヤ病(ウィリス動脈輪閉塞症)の持病を持っていて、これまでに脳出血を3回発症し、2回目の発症で軽い右片麻痺になり、メスを持つことができず整形外科医を断念したという。 その代わり、彼女は持…

「さらばリハビリ」~(21)STが勧めた「高次脳機能障害」の本

急性期病院のSTが、私の症状を聞いて、「もしかするとこの本に出てくる症状かもしれない」と紹介してくれた。STは主治医より脳疾患患者の症状を詳細に知っている。STにとって、心理学を学ぶことは重要だ。どの患者もみな個性や症状が違うし、障害の受容のし…

「さらばリハビリ」~(10)なんでこんなに腹が立つのか?

急性期病院のころからSTのリハビリは受けていたのだが、言語の回復は身体の回復と同じくらいか、それより遅い。もともと無口で人嫌いの私は、健常者のときから心を開かないと口も開かぬような性格だった。 私の言語障害は高次脳機能障害と構音障害(言語障害…

「さらばリハビリ」~(6)脳梗塞と便秘の関係?

尾籠な話で恐縮だが、発症以来、私はどうやら便秘のようだ。健常者のときは快食快便で、どちらかというと軟便気味だった。月経前に一瞬便秘になることもあり、月経が終わるとまた元通りになる。 排便コントロールのグラフを作成すると、なんとなくパターンが…

「さらばリハビリ」~(2)仁義なき病院との闘い

アメリカから帰国した翌日、川口さんが入院手続きをして、私の部屋を用意してくれた。カーテンを締め切っていたので詳細はわからないが、部屋は4人か6人くらい。窓が広くて、部屋全体に日光が明るく差している。川口さんは机で書類の記入をし、売店でパジ…