映画評

重度身体障害者はセクシュアリティやジェンダーに関係ない「代替不可能なもの」がある

『最強のふたり(2011)』鑑賞。いやー、良かった。実話に基づくフランス映画で、頸椎損傷の大富豪フィリップと失業保険のサインが必要だったドリスが、なぜかフィリップの介護をすることに。ふたりは男性だが、初老の白人で金持ちで雇い主のフィリップと、…

ホピ族の予言と衆議院選挙の話

私はもうすぐ五十路の女で、独身、恋人なし。ついでに無職で身体障害者である。あと一つ増えたら萬貫で、老化の深刻な病を発症したら役萬ハネ萬だ。がしかし、「将来に不安を感じる」どころではなく「お先真っ暗」だが、私は「そのうちなんとかなる」と楽観…

戦争がなくても平和じゃない―『この世界の片隅に』所感

我が心の恩師・木田元氏は、「戦時中、僕は人殺しと強姦以外の悪を一通りやった」と笑いながら言った。おそらく闇市か何かで儲けたのだろう。木田氏はその金で自己投資をした。つまり、大学へ行き「現象学」の大家になった。 一方で、山口良忠という裁判官が…

【ネタバレ上等】エヴォリューション(進化)するもの

映画を観てない者は、まず公式サイトを見てみよう。 オデはついさっき観てきた。自慢ではないが自慢するぞ。 「ヒトデは生まれた時、一度だけ変化をする。それから…新たな同期が始まる。新たな命」 最初に、ヒトデの生殖機能(生殖方法)が何通りもあること…

『ジェイン・エア』(2006)

ニコ動で初めて見た。途中、「だれの〜、せ〜いで〜もない雨が〜、降〜って〜いる〜♪」と歌いそうになった。もう完璧。映画化はすでに6本されているからすごい。 原作のシャーロット・ブロンテ尊敬。ーーー この作品のヒロイン(ジェーン・エア)は美人では…

マイナー映画マニア自慢(5)

第2位 『ひなぎく』(1966年、チェコ) 20代のとき、この映画がリバイバル上映として吉祥寺で公開された。チェコの映画だから、配給元はシュヴァンクマイエルと一緒のチェスキー・ケーである。 最近、懐かしくなってDVDを取り寄せた。ヴェラ・ヒティロヴァ…

冬の深キョン祭り♪(実は寺島しのぶのほうがすっごい好き♡)

「ルームメイト」を鑑賞する。「女の素顔は恐ろしい」という映画のキャッチコピーでミソジニー臭を感じ、深田恭子と北川景子の共演でレズビアン臭を感じ取る。 萩尾春海(北川景子)が自動車事故に遭い、脚の怪我をして入院している間、そこのナースである西…

マイナー映画マニア自慢(4)

第2位 ケネス・アンガー『マジック・ランタン・サイクル』(1941〜2007年、アメリカ) ちょうどこのとき、ケネス・アンガー著書『ハリウッド・バビロン』(はっきり言ってハリウッド女優俳優たちのスキャンダル暴露本)を読み、そのついでにDVDをレンタルし…

マイナー映画マニア自慢(3)

第3位 原一男『ゆきゆきて、神軍』(1987年、日本) ドキュメンタリー監督といえば原一男。『ゆきゆきて、神軍』はまだいいけど、『さようならCP』(1972年)は、大いに異論があった。 当時は学生運動などの社会運動が盛んで、勢いに乗った障害者グループ「…

マイナー映画マニア自慢(2)

第2位 松本俊夫『薔薇の葬列』(1969年、日本) 知る人ぞ知る、ピーター主演の、オイディプス神話を基にした映画。本当にピーターは可愛くて美人だった。 これは、18歳のときに、大森シネマで観た記憶がある。同監督の『ドグラマグラ』が同時上映だったが、…

マイナー映画マニア自慢(1)

第3位 ヤウ・チン『LET'S LOVE香港』(2002年、香港) あらすじを書くより本編を観たほうがいいのだが、その本編を探しても見当たらない人へ。ここにはボーイッシュなレズビアンが三人登場する。一人は、マーケットで携帯販売する気さくな貧乏人(ゼロ)で…

世界3大キレ芸女優(3)

(やはり写真がアップできない模様。ストックってどーやって消去すんの?おせーて!) 第1位 シャーリーズ・セロン 最初に彼女を観たのは『サイダー・ハウス・ルール』だったが、その印象は薄かった(映画そのものは非常によかった)。シャーリーズ・セロン…

世界3大キレ芸女優(2)

(なぜか写真がアップできない…)第2位 ケイト・ブランシェット『ヴェロニカ・ゲリン』(2003年、アメリカ)で彼女を初めて観た。ヴェロニカは実在の人物で、麻薬犯罪に関する記事を取材・執筆する女性ジャーナリストだった。数々の脅迫や暴行にも屈せず、…

世界3大キレ芸女優(1)

第3位 ケイト・ウィンスレット 彼女を初めて見たのは、『乙女の祈り』(1994年、ニュージーランド=アメリカ)に出演していたときだった。これが彼女の映画デビュー作品である。 その後、『タイタニック』(1997年、アメリカ)でブレイクし、いま(ちょっと…

トム・アット・ザ・ファーム(2014年、カナダ=フランス)

この映画を観る前に、自宅で「プレイヤーズ・フォー・ボビー」というアメリカのドラマを観ていた。1980年代のアメリカで、ゲイの息子を受け入れることができなかった敬虔なクリスチャンの母親の実話を元にしている。母親はシガニー・ウィーバーが熱演してい…

フランシス・ハ

1)バレエカンパニーの研究生フランシスは大学時代からの友人ソフィーとルームシェアをし、「私たちって熟年のレズビアンカップルみたいよね」と笑った。あるときフランシスは彼氏のダンに、猫を2匹飼うから一緒に世話してほしいというのだが、フランシス…

『眠れる森のクイア(queer)』

どうして、これを書くことを忘れていたんだろうか。オデとしたことが!!!!! いま、反省と後悔を深〜くした後で、改めて書く。今日、某SNSで知人のコメントを読み、「なるほど確かに!」と膝を打った。 『マレフィセント』は、『アナと雪の女王』などと比…

映画『悪童日記』は臨場感あふれる作品だった

公開初日、観てきた。 http://akudou-movie.com/アゴタ・クリストフの小説は、出版当時話題になり、オデは今まで三度読んだ。続編の『ふたりの証拠』『第三の嘘』、その三部作の著者が初めて語る半生『文盲』も読んだ。当初は、「アガサ・クリスティーじゃな…

【百合ダス】湯浅芳子とは、この私だ。【所感】

お久しぶりでございます。去年の10月からサイト更新せず、ず〜〜〜っと『百合ダス』カンパの報告でしたが、今日ようやく劇場へ行き、本編を初めて観ました。といっても、わたしは「原作」も「映画」も知らぬままでして、無知な状態で本編を観ることはシート…

『スパニッシュ・アパートメント』(原題:L'auberge espagnol)

ヘテロ(異性愛)女性とゲイ男性の場合は、「男好き」という共通点から恋愛トークに花を咲かせやすいが、レズビアンとヘテロ男性はその限りではない。むしろレズビアンをも欲情の対象にしてしまうヘテロ男性とのあいだに、友情など成立するはずがない。その…

『プレシャス』(2009年、アメリカ)

ふぇみん2010年2月25日号に掲載された映画評のご紹介です。ゴールデンウィーク公開予定。 「プレシャス」とは「宝物のような」という意味の英語。このミドルネームを持つ女の子が本作の主人公だが、皮肉にも彼女をめぐる現実はその意味とはまったく裏腹であ…

『キャピタリズム マネーは踊る』(2009年、アメリカ)

ちょっと今さら感もありますが、ふぇみん2009年11月25日号に掲載された映画評のご紹介。日本で公開されてすでに1ヶ月が経ちましたね。***** 本作が完成した今年(2009年)は、監督デビュー作『ロジャー&ミー』発表からちょうど20年目。最新作のテーマ…