「さらばリハビリ」~(6)脳梗塞と便秘の関係?

 尾籠な話で恐縮だが、発症以来、私はどうやら便秘のようだ。健常者のときは快食快便で、どちらかというと軟便気味だった。月経前に一瞬便秘になることもあり、月経が終わるとまた元通りになる。

 排便コントロールのグラフを作成すると、なんとなくパターンが見えてきた。数日まったく出ないことがある。お腹が張ってどんなにうんうん気張っても踏ん張っても、うんともすんとも言わない。おそらくこれは直腸のなかに超硬い便が詰まっているらしい。

 直腸に便がたまると、直腸の壁が押されて伸び、その刺激が脊髄の排便中枢を介して大脳に伝わり、「便意」を感じる。便意が起こると腹筋を収縮させ(いきんで)、便を押し下げ、肛門の内肛門括約筋と外肛門括約筋をゆるませて体外に便を排出する。

 脳梗塞の後遺症で、大脳に刺激が伝わらず、「便意」を感じないことがある。そのため便秘を起こしやすくなる。また、麻痺があると腹圧をかける(いきむ)ことが難しくなるため、便秘になることもある。

 あるとき、直前の便はどうなってるんだろうと便座を浮かせて手で触ってみるとびっくり。ごそっと乳児の頭、あるいは大のキヌカヅキ(失礼)ぐらいあるではないか!(私の手を開いてギリギリつかめる)。

 これは排便でなく出産である。というか、こんな糞詰まりがあったら出るはずがない。どうするこれ? ため息をつきつつ戦慄しつつ、ウォシュレットのボタンを押す。水圧の刺激で便意があるかもしれないとなけなしの希望がよぎる。そのまま一気に踏ん張り、腹筋で躊躇と便を一緒に押し出した。思ったより痛みは大したことなかったと安堵したが、便座を見てギョッとする。…こ、これは…私の肛門が…? と思いも寄らない直径の大きさにひとり感心する。

 それが数日つづき、突然、恐怖の臨月に。便意はあれど一向に出ず、一度にまとめてどっと出る。まるでウミガメの産卵。腹が張っても不快だし、トイレに行っても苦痛である。排便するたび出血していてはいずれ肛門ガンや直腸ガンになるかもしれん。

 深刻さは検索においてディープリンクにする。以前、「脳梗塞 便秘」で調べたら、「重金属」というキーワードが専門的すぎて訳わからんかったけれども、あらためて読むと、もうこれは美容整形という名にもとづいたオカルトの部類である(気になるかたは「重金属 便秘」でどうぞ検索してください)。私、重金属を吸収するバナナとかパクチーとか食物繊維たっぷりの青汁とか注文しなくてよかった! マイナスイオンとかナノメーターとかマイクロシーベルトと同じく怪しい部類だ。曰く、食物に微量ながら付着した重金属が体内に堆積して腸の動きの停滞化し、それによって便秘が起こる。てかこれ、脳梗塞と関係ないやん!(あります! 脳梗塞による自律神経の不十分な機能です! 重金属がそれを助長するんです!)

 後述するが、この病院で一番親しかった患者のOさんに便秘の相談をしたら、「そりゃ酸化マグネシウムだね。食事の前後に2錠ずつ飲むと便秘が解消するよ。多すぎると下痢になっちゃうから注意しないと。ナースに言えばいいよ」よっしゃ! これで便秘も解決だ!

 …とは思ったものの、1年に数回のパターンで酸化マグネシウムを服用するだけでは便秘することが判明した(酸化マグネシウムは1日6錠がマックス)。前述したが、おそらくこれは月経の前兆である。私は月経の前後に便秘や下痢が起こる体質なのだ。薬局でイチジク浣腸を買っておくが、半年後にはもう在庫がなくなる。先日、食物繊維たっぷりの寒天はお通じにもってこいだとラジオで聞いた。費用対効果はイチジク浣腸よりも寒天のほうがはるかに安い。寝る前に牛乳寒天をつくり、翌日デザート代わりに食べる。私はより快適なトイレット生活を送っている。

 寒天の種類は2つ。棒寒天と粉寒天。某寒天は水にふやかして千切って煮詰めてとの手間がかかるが、粉寒天は超お手軽である。鍋に沸騰した水や牛乳に混ぜ、タッパーに注いで冷蔵庫に入れるだけ(詳細は粉寒天の袋に書いてある)。三温糖やてんさいオリゴを混ぜると牛乳プリンのような食感になり、私のお気に入りである。ご飯を炊くときも粉寒天を入れておく。