クィア・スタディーズ入門
昨日参加した「<喪>とクイア」では、オデと研究者たちが完全に違う方向を見ていたことがやっとわかった。ここは大学だし、「アメリカでエイズ危機(医療従事者たちがゲイを含むハイリスク・グループを勝手に決めて治療拒否し、エイズに罹患したゲイたちの…
昨日、新宿某所で某学問系のイベントに行き、知人と会ったオデは「成宮寛貴っていままで全然興味なかったけど、突然の引退でちょっと驚いたよ」と話したら、知人は「なぜかわたしたち(Lカップル)のあいだに俳優のファンがいると必ず彼はゲイになっちゃう」…
「ジェンダーはパフォーマティヴに構築される」というバトラーの理論が、1990年代のクィア・ムーヴメントにおいて大きな人気を得たのはなぜだったのか。また、クィア・ムーヴメントにおいてトランス的パフォーマンスが力を得ていくなかで投げかけられた疑問…
●ジェンダーには本質も根拠もないバトラーのいうジェンダーとは、自然で本質的な根拠があるわけではないにもかかわらず、パフォーマティヴな作用を通じて規範として実体化するものである。つまり、現実的にがっちり機能を果たし、強制力を持ってひとびとの生…
●「自然」に基づくわけではないセックスが「自然」に感じられるのはなぜ?前回解説したバトラーの「セックスはつねにすでにジェンダーである」という主張の補足から。バトラーのこの主張への批判として一般的に聞かれるのは、「セックスが人為的な意味づけで…
●女は男とつがうことにおいて「女」である「ホモソーシャルな体制」においてジェンダー規範と異性愛規範がつながっているとして、その場合のジェンダー規範は、基本的には男性/女性という区別を前提としている。女性を媒介にして男性同士がつながる、という…
●ホモエロティックへの恐怖前回の最後に述べたことをもう一度くりかえしておくと、西洋近代以降の家父長制社会においてはホモソーシャルなつながりがとても強いが、それとホモエロティックな欲望とは完全に切り離すべきである、切り離せるはずだ、という理念…
今回は、セジウィックが提唱した「ホモソーシャルな欲望」理論についての詳細です。西洋近代以降のホモソーシャル体制に見られる二大特徴、「ミソジニー(女性嫌悪)」と「ホモフォビア(同性愛嫌悪/恐怖)」とはどういうものかについて解説します。 ●女よ…
●「女性の交換論」と「欲望の三角形」セジウィックが異性愛規範と家父長制についてはっきりと述べているのは、最初の著作である『男たちの絆(Between Men: English Literature and Male Homosexual Desire)』(1986)。セジウィックはこのなかで「ホモソー…
今回は、講座第1回の補足をふまえて、クィアとは「立場」や「態度」を表明する形容であることの説明と、この学問分野における「規範」の大まかな定義について。規範は、異性愛社会だけでなく、セクシュアル・マイノリティ社会にもあったりするんですよー。 …
●ジェンダーとセクシュアリティは密接に絡んでいるゲイル・ルービンは、ジェンダーとセクシュアリティの分離を提言したが、これは当時の文脈があっての戦略的なものだった。この提言を真に受けすぎると、「では、フェミニズムはジェンダーを扱うものだからセ…
今回と次回は、クィア・スタディーズがどのようにして生まれたのかというお話です。運動と学問はけっして切り離せないものであることがわかります。クィア・アクティヴィズム(クィア・ポリティクス)は80年代の終わりごろ、エイズ・アクティヴィズムに重な…
クィアの歴史についてパート2です。クィア・ムーヴメントが起こった直接的かつ重要な契機であるエイズ・アクティヴィズム(1980年代)は、ゲイ男性のみならず、レズビアン・フェミニストたちやセックス・ワークに従事するトランスたちにとっても切実な活動…
今回は、クィア・ムーヴメントが起こるまでのアメリカの歴史の流れ(第二次世界大戦後〜)を見ていきます。1960年代〜70年代の公民権運動(ウーマンリブや学生運動など)、フェミニズム、ゲイリブ、ゲイライツ運動、80年代初頭のHIV/エイズ流行を受けて起こ…
●まっとうでなければだれでもクィアクィアをとてもうまく説明したものに、“Anything that is not straight(ストレートでない者はすべてクィア)”という表現がある。ストレートは、「真っすぐ、まっとうな」の意。とすると、クィアは「まっとうではない」の…
2007年7月から9月までパフスクールで行なわれた「クィア・スタディーズ講座」(全6回)のレポートをお届けします。講師は全6回とも、こちらとこちらでご紹介した清水晶子さんです。 本日はその1回目のパート1(わかりにくくてすみません)。講座そのも…
[http://d.hatena.ne.jp/deltag/20071110:title= 「クィアってなに?」清水晶子さんインタビュー(1)]の後半です。クィア学会を立ち上げるにいたったいきさつや、どんなニーズがあって設立を目指したのか、クィア・スタディーズに必要なものとはなにかなど…
2007年7月から9月まで、パフスクールにおいて、清水晶子さん(東京大学大学院総合文化研究科准教授。専門は表象文化論、批評・文化理論)を講師に招き、クィア・スタディーズ講座(全6回)を開講しました。 このインタビューは、講座第5回(9月5日)終…