2020-01-01から1年間の記事一覧

「さらばリハビリ」~あとがき

この本は、鈴木大介『脳が壊れた』(2016年、新潮新書)の二番煎じである。二番煎じではあるが、それは「二匹目の泥鰌」を狙った水増し本ではない。鈴木さんは私より若く、発症年も浅いのに、「リハビリ」に関するイメージが普通過ぎて呆れ返り、「そう…

「さらばリハビリ」~(36)障害者同士のコンフリクト(葛藤)は日本の習慣や文化が原因?

障害者同士のコンフリクトは、かつて健常者の私も知っていた。いまや電動車椅子ユーザーになって、その深刻さと怒りの感情はますますエスカレートした。 そのコンフリクトは、車椅子ユーザーと視覚障害者の間にある。幹線道路の歩道や駅、公共施設にも設置さ…

「さらばリハビリ」~(35)より快適な生活を求めて 

ここ数年、東京の街を車椅子に乗って観察した結果、地下鉄の駅が構造的にエレベータを設置できず、階段でエスカルに移動しないといけないことがわかった。鬼門は九段下の乗り換えと東銀座である。九段下の乗り換えは、一度地上に出て移動しないと乗り換えら…

「さらばリハビリ」~(34)「善良な車椅子ユーザー」のイメージを払拭してやる!

昨今、日本のスモーカーは徐々に駆逐されている。街なかでは喫煙エリアと称された体裁程度の灰皿が置いてある。健常者でこんな程度だから、車椅子ユーザーのスモーカーはいったいどうなるのか。 私が目の当たりにした喫煙エリアは、当然ながらアンチバリアフ…

「さらばリハビリ」~(33)40代以下の「若い失語症の集い」に参加して

上川あやさんとの会話で知った「若い失語症の集い」を、私はネット検索して参加した。参加費は2000円で、参加者たちの近況報告をダラダラとしゃべり、食事をし、最後に歌を歌って閉めるイベントである。失語症の原因は、私と同じ脳疾患、スキー事故、交通事…

「さらばリハビリ」~(32)単身リハビリ生活は、バリアフリーでないから大変!

ポンコツな医療ソーシャルワーカーにはもう頼らない。自分の部屋は自分で探す。病院の近所の不動産会社から生活保護用(都内であれば家賃平均約5万円)のアパートだけを選りすぐって吟味する。これじゃ収納スペースが足りない。私は不動産会社の担当に「候…

「さらばリハビリ」~(31)患者を支配・管理しすぎる医療のシステム

いまからおよそ30年前、大学の入学手続きのため田舎の病院で検査を受けて健康診断書を作成してもらったとき、医者から「あなたは糖尿病ですね」と診断された。特に治療薬の処方もなく、いまのように食事療法もなく、診断されても何も手の施しようがなかった…

「さらばリハビリ」~(30)アバウトに聞かれるオープン型質問と、YES/NOで答えるクローズ型質問

介護や看護で用いられる面接/会話技法に、「KOMI理論」がある。この技法はかなりメジャーなので簡単に説明する。 患者とやり取りをする質問には2種類ある。クローズ型(YES/NOで答える)質問とオープン型(YES/NOで答えられない、もしくは5W1Hの)質問で…

「さらばリハビリ」~(29)感情のコントロールができない「感情失禁」

高次脳機能障害の主な症状は、いまはない、と思いたい。自然治癒した症状もあり、後は工夫して訓練して克服した。たとえば一般のカレンダーは読めないが、黒白反転した「大活字カレンダー」を買ったら少しは読めるようになった。アナログ時計もいまは読める…