婦人科医に聞ける!FTMと治療 本当のトコロ ー健康に暮らしていくためにー(5)
女性ホルモンが変動して減っていくことで、卵の数も減っていきます。これは「女性がいくつまで妊娠できるか?」って話なんだけど、だいたいホルモン低下は35歳すぎたあたりから難しくなります。37歳にはさらに難しくなるし、40歳ではすっごくハードルが高いんだけど、芸能人で40代で産んでる人が出ちゃったもんだから、みんな「40代でもイケるんだ!」と思っているけど大間違いです。
特に男性はそう思ってる人が多くて、それで不妊治療のなかで夫婦でもめるんです。だいたい女性は焦っているんだけど、男性は平気で「まあ、大丈夫、イケるイケる」と、そういうので誤解があります。でも本当に、だいたい35歳をすぎるとそろそろ危なくなってくる。
でも今はあんまり子どもは産まないですよね。一人、二人とか、五人だったらすごい多いかな、十人だったらテレビの番組に出演するほど珍しい。昔は十人ぐらい産んでた。だから、産んでたってことは月経や排卵が少なかった。おっぱいあげてる間って月経や排卵がこない。気がついたらお腹に二人目がいました、って感じ。十年くらいずーっと産み続けて、十年間月経がなかったって人はざらにいたんだけど、今はそんなことはないので、毎月女の人は排卵月経、排卵月経とやっているので、これによって増えていく病気というのがあるんです。
子宮内膜症という、月経痛がひどくなる病気ですけど、子宮筋腫という瘤ができてくる病気とか。胎がん、卵巣がん、乳がん、このへんのがんは、月経が多いひとのほうがなりやすいんです。女性ホルモンの変動によって、ライフステージが変わるたびに、その都度起こる病気が変わっていく。それに男性に少なくて女性に多い病気もあります。
性成熟期は妊娠に適した時期なんですが、不妊症という病気もあります。子宮脛がんという病気はセックスによるウィルス感染なので、若い人が多いんです。月経前症候群(PMS)は、プレメンスシンドローム(Premenstrual Syndrome)の略なんだけど、フィジカル(Physical:身体)、メンタル(Mental:精神)、ソーシャル(Social:社会/学校、職場)も支障が出るので、このPMSともいう。
子宮内膜症は、もちろん、子宮だけに起こる病気ではなく、子宮と卵巣やお腹のところ全部と、遺所性内膜症といって、肺とか直腸とかいうところに病気ができるケースがあって、痛みがひどくなります。子宮を取っちゃえばおしまいっていう病気ではないんです。卵巣が残っていれば卵巣からのホルモン指令でホルモンの変動は起こるので、それによって痛みが続いちゃうってことなんですね。
つづく。