婦人科医に聞ける!FTMと治療 本当のトコロ ー健康に暮らしていくためにー(4)


女性ホルモンの作用は、もちろん体つきを丸くしたり胸を膨らませたりなどですが、いろんなところに関わっているんです。髪とか皮膚とかはもちろんですが、血管、骨、内蔵、あらゆるところに女性ホルモンが関わっているんですね。だから女性ホルモンの乱れは全身の不調になっちゃう。(SRS手術は)この辺に注意しておかないといけない。


月経はだいたい、性成熟期なら毎月やってきます。卵巣からのホルモンが司るんだけど、卵巣が勝手にホルモンを出しているわけじゃなくて、頭のほうから命令するホルモンが出てくる。それが届くと初めて卵巣が動き始める。身体に妊娠の準備をさせて、妊娠が成立しなければ、月経になって内膜が剥がれて出てくる。ホルモンのため、1ヶ月の間に目まぐるしく動く。大きな年代の変化があるとともに毎月の変動もあるので、いろんなところに関わっているので、身体のことだけじゃなくてメンタル面にも影響するんですね。排卵が終わった後の曩胎期(?)では、身体の不調やメンタルの不調を訴える人、これをPMSっていうんだけど、結構増えてきます。


月経はサイクルがあって、それによって身体とか気分がすごく変わるんですね。月経が始まっているときは、月経困難症、月経痛、要するに収縮痛ですね、子宮が収縮してお腹が痛くなる、あと頭が痛くなったりとか。子宮の内膜のなかにはプロスタグランジンという発痛物質、痛みの原因となる物質があるので、それが多いと痛みが強くなる。量が多ければ、収縮が強くなければ外に血を出せないので、収縮も強くなって痛みも強くなる。ということで、頭痛、腹痛、吐き気、いろんな痛みが出る。やっと終わりましたという時期は一番体調が安定している時期。


で、排卵を迎える。やっぱりホルモンが上がってきて、卵胞から一番いい状態の卵子がポンと飛び出してくるんだけど、排卵のときに痛んだり出血したりする人もいますが、排卵が終わってから月経の間が一番不調になる時期。メンタルも体調も落ち込む時期ですね。これを毎月毎月目まぐるしくやっているんですよ。


男性ホルモンは日台変動(?)といって、朝のほうが夕方よりいいとか少しあるんだけど、ほとんど動かない。ゆっくりゆっくり落ちていくので、年台の変動もそんなに大きくない。だから、男性ホルモンは体調が安定して、メンタル面も体調もわりと安定している。


ところが、女性ホルモンはすごく目まぐるしく変動するから不定愁訴が多い。ちょっと頭が痛いとかお腹が痛いとか身体が冷えるとか、なんとなくダルい、眠いとか、なんか常に身体の調子が悪い不定愁訴が女性は多い。


男性は、病気になると死ぬか生きるかで突然バタッと倒れちゃう。女性ホルモンは【長生きホルモン】なので、女性の平均寿命は現在86歳を越えている。それは女性ホルモンのお陰なんですね。


つづく。