婦人科医に聞ける!FTMと治療 本当のトコロ ー健康に暮らしていくためにー(3)

そのホルモンが働きだすのは思春期。だいたい12、3歳くらい。男性も女性ホルモンがありますし、女性も男性ホルモンがあります。あるんだけど、その優位差があって、男性は男性ホルモンが多く、女性は女性ホルモンが多い。後述しますが、これは年代で変わってくる。


思春期が始まって、女子も男子も性教育を教わりますが、女子だけ集まって月経(初潮)の話を教わります。一方、男子も寝ているときに「精通」といってペニスからピッと出ます。身体が射精の練習をし始めます。女性は学校で月経の話をするんだけど、男性は精通の話はあまりされてない。何が起こったのかまったくわからない。慌ててお母さんに内緒で、洗面所で自分のパンツを洗うところからスタートするので、男子の性はわりとネガティブな感じでスタートしちゃう。ここはちょっと問題なところなんですけど。男性は女性以上にまったく知識がないんですね。


(受精、妊娠の仕組みは省略)


(男性ホルモンと女性ホルモンの年代別グラフを示す)
男性ホルモンと女性ホルモンの分泌は、すごく違うんです。最初は一緒ですね、思春期にはホルモンがあがってきて、成熟期で20代から30代。みなさんもそのくらいの年代ですが、いちばん性ホルモンが活発な時期です。ところが女性は35歳をすぎると落ちていくんです。40歳になると一気に低下する。ジェットコースターみたいに一気にガーッと落ちちゃうんですね。一方、男性は、ジェットコースターに乗らないでゆっくりゆっくり。ここの違いがすごく大きい。


ですから女性は、急降下する時期が更年期といわれるあたりで、そろそろホルモンがなくなってくる時期。卵巣を手術でとるともっと急ですね。ゼロまでいってしまうという状況ですね。


80歳までいくと、男性が持っている女性ホルモンが、女性よりも多くなる。お爺さんだかお婆さんだかわかんない人いるでしょ(笑)? そこまでいくと、お爺さんのほうが優しい感じで、お婆さんのほうがアグレッシブになる。それはホルモンの働きが大きいんですね。


女性はこうやって変動していく。変動するプラス、この性成熟期には月経のサイクルがあって、それによってまたホルモンがすごく動くんです。だから「二重の変動」なわけ。それが乱れてくると身体にいろんな不調が出てきて、いずれホルモンはなくなっていき老年期に向かっていくという。これが女性ホルモンの大きな流れなんですね。