2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「さらばリハビリ」~(16)大島渚の「リハビリ拒否」

あるとき偶然、大島渚のドキュメンタリー番組を回復期病院のテレビで観た。大島渚は1996年1月下旬、10年ぶりの作品となる『御法度』の製作を発表した。しかし、同年2月下旬に渡航先のロンドン・ヒースロー空港で脳出血に見舞われた。その後、3年に…

「さらばリハビリ」~(15)急いでリハビリする必要はあるのか?

脳梗塞を発症したとき、死んだ脳細胞の浮腫ができているかもしれないので、安静にしていないといけない。が一方で、動かなくなった手足を早いうちに動かさなければならない。 アメリカの病院ではさっそくリハビリを開始した。言葉はまったくわからないが、療…

「さらばリハビリ」~(14)中途障害の落とし穴

野溝七生子『山梔』に、こんな引用がある。 将来に、望みをかけるほど、それほどの無感覚さが恐ろしい 高原英理『少女領域』のなかで、この部分を解説している。 […]簡単に告げておけば、前進・進歩を何よりの理念とした近代国家日本が、明治を終えた頃、…

「さらばリハビリ」~(12)リハビリテーション料の根拠は「量(時間)」より「質(効果)」

病院にいたときと自宅にいたときで、担当療法士の経験値(技術や知識)の落差が激しいことを知った。そのぶん、リハビリ病院の療法士は比較にならないほどレベルが低い。修行も足りないし経験値も低い。それゆえ賃金も安いだろうし、病院経営は低賃金の療法…

「さらばリハビリ」~(13)一番親しかった患者

回復期病院の患者で、車椅子に乗った大柄の40代男性がいた。仮に彼をOさんとしよう。Oさんは毎日ナースに向かって話し、いつも帽子を被り、食事のときはテレビ画面と反対の方向に座って食べ、一番早く食べ終わっていた。 私はOさんの不思議な行動に軽い疑問…