婦人科医に聞ける!FTMと治療 本当のトコロ ー健康に暮らしていくためにー(2)


<吉野一枝先生>
よろしくお願いします。私はここで婦人科を開業して12年になります。大学は何箇所か保健相談ということで、学生さんのお話や相談を受けたり、中・高・大学で講演したり、そういう活動をやっています。

みなさんに限らず、身体のことって学校で意外と教わらないでしょう? だいたいほとんど知らないで大人になっちゃうんだよね。なので、今日は基礎的なお話を聞いてもらおうかなということで。月経の話なんかも1時間くらいで終わっちゃうよね。私のときもそうだったけど、よくわかんないうちに終わっちゃったんでね。その後聞く機会はまったくなかったので、医学部に行って大学の講義のなかで教わったのが実際でした。そういう専門学校に行かないと、一生分からないで終わる。分かっていない人のほうが圧倒的に多い。いろんな情報だけはすごく飛び交っていて、間違った情報もすごくあるので。


(参加者の自己紹介)


(吉野先生がiPadのスライドを持ってレクチャーする)
まず、すごく基本的な知識ですけど、女性と男性の身体って、セクシュアリティーってすごくアナゼーション(? 聞き取レズ)なんですね。うちにも患者さんがくるんですけど、男性とも女性とも決められない性もあります。

男性や女性を一番決めるのは性器で、実は鍵を握っているのはそこではなくてホルモンです。健康の秘訣は、ホルモンをいかに知って動かしていくかであり、いろんなトラブルの原因にもなるということで、そのホルモンは女性の場合は卵巣から出るんですね。子宮はホルモンを出していないです。子宮って骨盤の奥の中にあって鶏の卵くらいの小さな臓器なんですけど、ここは妊娠出産するためのもので、赤ちゃんが育って3キロくらいに大きく膨らんでくる、産むと収縮してくる伸縮自在の臓器です。

ここはホルモンには動かされるけど、ホルモンは出していない。ホルモンを出すのは親指大の小さな臓器なんですけど、二つある卵巣、ここがポイントなんです。

卵巣や子宮の病気で卵巣を摘出した女性もいますが、実は子宮とっただけじゃ何も変わらないんです。ホルモンは何も動かないので。でも卵巣をとってしまうと、これは大きな変化になります。


一方、男性の性器は、卵巣に対して精巣ですね。睾丸のなかに入っている。精巣はホルモンや精子をつくる場所です。精巣は腹腔のなかじゃなくて外にある。男性ホルモンや精子はあまり暖かくしてはダメなんです。お腹のなかにある子宮と卵巣は常に体温で守られているので、36、7℃に保たれている。子宮や卵巣を冷やすと機能が落ちちゃう。男性の性器は常に外気で冷やされているので、ホルモンはある程度働く。男性が高熱を大人になってから出すと、精巣の機能が低くなる。生物学的には、男性がスカートを履いて女性がズボンを履くのが理に適っている。


つづく。