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「まんこ」と「ショーバイ」と「フェミニズム」

名前はまだない ノン・ヘテロ セクシュアリティ

北原みのりを最初に聞いたのは、彼女がラブピを立ち上げたとき、友人の芸術家ののぎすみこからだった。のぎちゃんはそのころ「ケツ花瓶」を作っており、数点の作品をラブピ(当時は四谷にあった)に納品したが、一個のケツ花瓶が壊れて黙って大雑把に梱包されて返品してきた。当たり前だが、作品を大事にするのぎちゃんは激怒してて、「自分の作品をただの商品(工業品)と思ってる! 絶対に許せない!」と憤慨した。
それからオデは、北原みのりには警戒しようと思った。


もう一度聞いたのは元カノである。元カノと一緒に南青山の一軒家にあるラブピに行って、白い皮革のハーネスや、自分のまんこサイズに合ったディルド、ドルフィン型のディスプレイディルド(お洒落で手に取りやすい。ただし実用性なしw)などを買った(これはラブピというか元カノのセンスである)。そのときにいたスタッフが、「南青山だから、近隣住民が『いかがわしいアダルト・ショップ』とクレームをつけて大変なんです」と言っていた。世間の風は厳しいから負けてはいけない、とそのときは応援する気持ちでいた。


いまは本郷だが、近隣住民のクレームがひどくて移転したかどうかは知らない。知らないがとにかく北原は逮捕された。ろくでなし子の3Dまんこを販売しているとネットニュースで聞き、「あれ? おかしいな? いくらフェミニズムでもそんな3Dまんこならフェミニストは買わんだろう」と疑問に思った。北原が黙秘しているのも気になった。フェミニストなら3Dまんこ販売は堂々と言えるだろうからね。


しかし、邪推好きで深読みクイーンのオデは、「もしかして、まんこの販売はヘテロ男にターゲットを絞ったのか?」と思った。もちろん、ろくでなし子の支援をしている形でだが。


北原の著書はまったく読んでいない。最近話題になった『毒婦。木嶋佳苗100日裁判傍聴記』も読んでない。一部のフェミニストが「『毒婦』というネーミングはいかがなものか?」と批判し、当の木嶋はブログで「ライター(北原)には一度も会って話をしていない。事実と違うから裁判を起こす」と糾弾し、批判していた。


かくいうオデも数年前、ラブピのブログで「タフまん」を連載していた(そもそもラブピのサイトがピンクピンクで嫌!)。まんこの話ばかり続いてオデが飽きるので、たまにはちょっと変えて異性愛批判の記事を書いたが、北原はノーと言った。「とにかく批判はいけない。あなたの記事のアクセスも落ちている」と。オデは3回書き直した。それでもノーだった。理由は「レズビアンのセックス記事を書け」と。「ミヤマアキラのセックスはわかるが、レズビアンのセックスってすでに北原のなかにあるの? 自分で書けばいいじゃんか! それがオデにそぐわないから拒絶したんじゃねーの? 異性愛批判をしないミヤマアキラなんて自分で許せない!」と腹が立って、オデはわざと連絡しなかった。断絶である。ユーザーに媚びを売るのも嘘の記事を書くのも編集長が大バカなのも、ひどく嫌だった。女性のアダルト・ショップを運営していた北原みのりを完全に軽蔑していた。


今から振り返ると、北原は「フェミニスト・セックス・トイ・ショップ」をやっており、勘違いしてオデはフェミニスト女性のユーザーを抱えたショップだろうと思っていた。でもそんなことはなくて、ラブピースの販売ユーザー層は圧倒的にヘテロ男性なのである(調査していないがたぶんそうだろう)。


そもそもフェミニストだからといってセックスに大いに関心があり、グッズを買い支えているフェミニスト・ユーザー層はおそらく少ないと思う。確かに欧米のフェミニストは「セックスの解放」といって「性の自己決定権は女性自身にある」と主張していた(特にベティ・ドットソンの「自分自身を愛しましょう!」と言って、全員全裸になって電マやローターやディルドでオーガズム・ワークショップの撮影を見たのは衝撃的で爆笑したww)が、はたして日本のフェミニスト女性はどうなのだろうか。「日本のフェミニズムセクシュアリティやセックスや女性の性的欲望には触れていない」というクイアによる批判があるが、現状ではまだ変わっていないと思う。


この件については北原に取材もしていないし、北原自身も拒絶/黙秘するだろう。だからというわけではないが、オデが堂々と邪推する。北原は「フェミニスト」を錦の御旗に掲げ、アダルト・グッズを売っていたのだ。オデはアダルトを売る女性を批判しているのではない。アダルトを「ショーバイ」にする理由が、「フェミニズム」を利用し、売名行為で運営していたのが許せないのである。


確かに、北原は「女のセックス・トイ・ショップ」でおよそ20年経営してきた。ビジネスの直感は鋭いし機動力もある。しかし、20年もあればアンテナ・ショップもいくつかできるだろうに、(ちょっと前に、韓国のフェミニストがソウル支店を出したいと言っていたが、それは中断された)それをせずに独占販売をしてきた。それが彼女自身の大いなる野望(とオデが思っている)を自分で邪魔していた。異性愛中心主義の日本社会で闘っていたのかもしれないが。


フェミニスト女性にバカ売れのアダルト・グッズ・ショップ」も商売繁盛はたいへん結構だが、単純に「セックスの解放」だけではアカンだろう。それと同時に、「男女賃金格差」も是正しないとね。女性がセックスに消極的でケチなのは何も経済的なだけではないのだから。


これははっきり言って私怨だが、オデが書いた「タフまん」は、北原が仲介して「ヘテロ男性」に消費され、搾取された(記事は1回につき5,000円)。「異性愛批判」はユーザー層であるヘテロ男性が買わなくなるだろう、と彼女が懸念していたことだからだ。北原のようなフェミニスト女性が経営者であるのは、フェミニスト以前に零細個人経営のワンマン社長であり、「ヘテロ男性」の視点しかないのである。


北原が逮捕された時点で、まるで鬼の首を獲ったように書いているかもしれないが、過去にあった一連のオデの「疑念」の総決算である。悪い噂だろうが風評被害だろうが、これはしょうがない。これでラブピが潰れても仕方がない。潰れた後には、誰かが新しい「フェミニスト・セックス・トイ・ショップ」を誕生させるかもしれない。オデはその新生ラブピに多大な期待をしている。