モンスターなテイコさん、エイリアンなススムさん(4)

つづき。

テイコさんが自殺する半年(2003年)前の9月、彼女は唐突にオデの自宅に来ました。ニコ生(2ちゃん)用語でいう「凸(とつ)」です。おそらくススムさんに出した手紙やハガキなどを勝手に読んで、北国から東京まで遠路はるばるやって来たのです。

当時のオデの部屋は、1、2階が大家さんの自宅で、3階がオデの部屋でした。それでテイコさんは、交番にオデの住所を言って道順を教えてもらい、大家さんに「ミヤマの母です」と挨拶し、大家さんがオデのドアを開けて挨拶し、彼女はおめおめと図々しく入って来たのです。

…ずる賢いというか、性根逞しいとしか言いようがありません。なんというバイタリティでしょう! テイコさんはもう還暦どころか70歳をとっくに過ぎているというのに! いまならスマホやネットツールがあるので初めての土地でも来られますけど、当時はぜんっぜんなかったんですからね! 大した度胸だよ! ったく!!

それから過去に遡ること約10年(1994年)、またしてもテイコさんは唐突にオデの自宅へやって来たのです(引っ越し貧乏で飽きっぽいオデは、更新が終わらないうちに別な部屋へと引っ越していました。したがって2003年と1994年のオデの部屋はまったく異なります)。1994年にテイコさんが部屋に来たのは初めてですし、オデは出かける直前でしたから、「部屋に上がってていいよ、鍵は開けといて大丈夫!」と言って出かけました。

その帰宅後、オデは部屋を見て愕然としました。トイレに貼ってあるたくさんの写真のなかで、オデお気に入りの写真がない! その代わり、テイコさんは勝手に2万円を置いていったのでした。…オデは鬱状態になりました。テイコさんがオデの確認もなしに勝手に写真をとっていたことと、その代金を置いていったことです。「こいつ、何でも金で買えると思ってんな?」と、オデは非常にトサカに来ていました。

2003年はその教訓があるので、今後は絶対にテイコさんを部屋には入れない、と自分で誓ったのです。テイコさんは、同じように、「部屋に入りたい」と言いました。オデはとっさに、「いま、人がいるから入れない(本当は嘘です。ヒロコさんはいましたがそのとき部屋にはいませんでした)。用件はなに?」と訊きました。「遺産を生前贈与したい」と、彼女は言いました。オデは、「は???? 何言ってんの??」と言いました。

2003年の5月、テイコさんの喜寿の誕生日にオデは花束を贈りました。そのとき彼女はひじょうに喜んで、現金書留で30万円送ってきました。オデはさらにドン引きしました。こいつ、感謝の気持ちを金で表現する奴なんだな、と軽蔑しながら。オデは無視しました。するとテイコさんは、何度も電話をかけたり手紙を送ったりしました。オデはそれらも無視しました。

そしてテイコさんは2003年の9月、オデの自宅に直接来るという強行突破をやり遂げたのです。番記者やヤクザ屋さんも裸足で逃げます。ストーカーかよ?!

30万円と同時に、手紙が入っていました。「今度はもっとまとまった金を送るから、口座番号を教えてほしい」と。
オデは直感で「危険すぎる!!!」と思いました。テイコさんは金を渡してオデと一緒に、しかも“勝手に”住むつもりだったのです。そんな金なら絶対に絶対に絶対にお断りします!!




で、オデの部屋の前での経緯を会話風に説明するね!

オデ「生前贈与するって、いったいどういうこと??」
テイコ「お姉ちゃん(フミカさん)にはすでに渡した。だからあんたにも贈与したい」
オデ「何言ってんの? お金は大事でしょ?! そんな大金(実は、金額は分かっていません)贈与したら、母さんの生活はどうなるの?!」
テイコ「…父さんが、あたしの財産を狙ってる」
オデ「ちょっと待ってよ、もともとは父さんが送った金でしょ? なんで父さんが母さんの財産を狙う必要があるのよ?!」
テイコ「…」
オデ「…ひょっとして、自殺でもするつもり?(半笑)」
テイコ「…」




こんなところで立ち話もなんだから駅前の喫茶店で話そう、と二人で階段を降りて歩きはじめたところ、
テイコ「なんでこんな道を通るのよ?!」
オデ「…へ? だってわたし、もうここには数年住んでいるからさ」
テイコ「交番で聞いた道順と違う! こっちから通るの! あたしはこれから何年も通る道なんだからね!」
とテイコさんが指す道は、駅とは反対方向でした。



やっぱり、テイコさんはオデと一緒に、それも相談もなしに勝手に自分で決めているのでした。
いくら大金を詰まれようとも断固拒否します!それも全身全霊で!!

つづく。